インシュアテックの世界

インシュアテックは英語でインシュアランス(保険)とテクノロジー(技術)を組み合わせた造語で「保険版フィンテック」とも呼ばれています。

AI(人工知能)と膨大なビッグデータで保険の常識を変えるのではといわれています。

保険は本来、将来の万が一に備えて大勢の人がお金を出し合って困っている人を助ける、相互扶助が基本です。

しかし、ビックデータの解析によって契約者の事故や病気のリスクをより精密に予測できるようになれば、保険料は一人一人細かく分かれていく可能性があります。

東京海上日動あんしん生命の医療保険「あるく保険」のサービスは画期的です。

加入者に端末を貸し出し、1日平均8000歩の目標が達成されると2年後に保険料の一部を還付するというもの。

体験した人の話では、キャッシュバックという具体的目標のため、エレベーターやエスカレーターを極力使わずにひたすら歩き、体重も1ヶ月弱で2㎏減少したという。

保険の担当者は「キャッシュバックを励みに加入者が健康増進に努めれば結果的に保険金の支払いも減る」とみています。

しかし、ある専門家は「事故や病気のリスクを予測できるようになれば、低リスクの人は保険に入らなくなり、高リスクの人は保険料が上がりすぎて事実上加入できなくなるのでは」と警告しています。

保険業界の各社はITベンチャーが集積する米シリコンバレーに精鋭を派遣し、フィンテックの研究を進めています。

その目的をこう語っています。

「目指すのは従来の保険にとらわれない変革だ。将来、 『昔は保険会社だった』 と言われたい。」