藤田美術館

大阪にある藤田美術館の所蔵品は国宝9件、重要文化財52件を含む数千点にものぼる東洋古美術品です。

明治時代の実業家 藤田伝三郎とその長男 平太郎、次男 徳次郎が収集したコレクションで、それらを社会文化向上発展に寄与したいと藤田美術館は1954年にオープン致しました。

その藤田美術館が6月11日までの展示を最後に長期休館致します。

施設の全面建替えを予定しており、2020年の開館を目指すそうです。

藤田伝三郎は世間ではあまり知られていないと思いますが、幕末の動乱期、高杉晋作の奇兵隊に入隊、木戸孝允、井上馨、山縣有朋らと親しくしており、様々な事業を展開していました。

当時の関西財閥の重鎮で三井、三菱と並ぶくらいだったそうです。

藤田伝三郎の大阪本邸は太閤園、東京別邸は椿山荘、箱根別邸は箱根小涌園、京都別邸はホテルフジタ京都であったことからも藤田財閥の勢いがうかがえます。

その藤田コレクションの中で特筆すべきは曜変天目茶碗です。

瑠璃色の曜変と呼ばれる斑文は、まるで宇宙に浮かぶ星のように美しい輝きを放ち、品のある華やかさの中に落ち着きがあり、「器の中に宇宙が見える」と評されています。

曜変天目茶碗は南宋時代の中国で作られたとされていますが、現存するものは世界で3点のみ。そのすべてが日本にあります。

日本では室町時代から唐物の天目茶碗の最高峰と位置付けられ、時の権力者の所有物となっていました。

2020年、新しくなった藤田美術館で曜変天目茶碗を見てみたいです。