コインロッカーの悲劇

先日、東京ビックサイトで行われていた展示会に行ってきました。
大きな展示会に行った時は、できるだけ多くのモノをみるために荷物を最小限にして、身
軽で回るようにしています。
私のような人が多いのか、コインロッカーは充実しています。
しかしながら、スーツケースを入れられる大きめのコインロッカーは競争率は高いのです。
運よく、近くにピッタシサイズのコインロッカーをみつけ、預けることにしました。
「よし、携帯と名刺も持ったし、これで大丈夫だな」と心でつぶやき500円を投入し、鍵をか
けました。
その瞬間、「あっ、招待券持ってない・・・コインロッカーに入れてしまった」と気づいたので
す。
ロッカーの前で苦悶すること約1分。
受付で名刺を渡して、招待券を再発行してもらおうと会場の方へ向かいました。
「そういえば、ロッカーの中に入れたのは、会場内でラウンジが使えるVIP招待券だった
な・・・。そもそも受付に時間がかかったら嫌だな・・・」と歩きながら苦悶すること約4分。
やっぱり引き返してロッカーを開けようと決心し、5分前に入れたばかりのコインロッカー
を泣きながら開けました。
VIP招待券を取り出し、もう二度とこんな過ちはしないと心に誓い、500円を投入し、再施
錠しました。
すると、前のベンチで座っていたおじさんと目が合いました。その表情は憐れみに満ちて
いました。
そうです・・・ 私の5分間のコインロッカーの悲劇を見ていたのです。
そのおじさんの憐れみと小さなエールを背中に感じながら、足早に会場へ向かいました。