十日戎

関西には1月10日の十日戎(えびす)というお祭りがあります。

戎様は七福神の中の一人で、釣り竿と鯛を両手に持ってほほえんでいる神様で、商
売繁盛の神として親しまれています。

私たちの会社は大阪の今宮戎神社の近くにあり、毎年行って福をもらってくるというの
が恒例になっています。

今年は成人の日と重なったので、11日の残り福に行ってきました。

気のせいか今年は人出もさい銭も少し少なめな感じがしました。

ひと通りお参りを終えて、これも恒例になっているおみくじを引きました。

今年の運はどうだろうと引いた番号をいかにも人のよさそうなおじさんに渡したところ、
おじさんはそのおみくじの紙片をチラッとみてこう言いました。

「もういっぺん引き」

「ええー、おみくじのやり直しですか?」と心の中でつぶやきながらもおじさんの好意を
うけて、もう一度引きました。

「うん、こっちのほうがええで」と吉と書かれた紙片をくれました。

最初の紙片に何が書いてあったのかわかりませんが、おそらく凶であったのでしょう。

お客様に気分よく帰ってもらおうとする関西のサービス精神がこんなところにもあふれ
ているのかと感慨を深くしました。

おじさんの満面の笑顔が印象的で、戎様から福をもらった気がしました。