レナウンの選択

先日、中国の大手繊維メーカー山東如意が東証1部上場のレナウンを買収した
と新聞で報じられていました。

具体的には、レナウンが山東如意を引受先に約40億円の第三者割当増資を7
月末に実施し、資本・業務提携を結ぶというものです。山東如意が41%超の筆
頭株主となりレナウンは山東如意の傘下に入り、経営の立て直しを図るというも
のです。

最近のグローバルな動きからすると必然の流れかもしれませんが、私の率直な
感想は「あのレナウンが中国メーカーの傘下になるなんて・・・ おまけに40億円
とは安すぎる」といったものでした。

ここ数年、中国系企業による日本企業買収の動きは活発になってきていました。
しかし、東証1部上場企業の買収は初めてです。

レナウンの狙いは高い成長が見込まれる中国市場です。山東如意の持つ販売、
物流網を活用して市場を開拓し、需要の取り込みを図ります。

一方、山東如意はレナウンの品質や技術力、ブランド力に魅力を感じ、中国と
日本はもとよりアジア市場での事業拡大を視野に入れているでしょう。

両者の思惑は一致しているように思えます。しかし、売上高の7割以上がデパ
ート向けで占めていたレナウンが万策尽きて、中国の新興企業に買収されると
いう事実は、そのレナウンのビジネスモデルが今の時代には通用しなくなってき
ているという事を見せつけられている感じがします。

事実、この報道後、株式市場は好意的に受け止めレナウンの株価は上昇してい
ます。