蕎麦屋で感じる「粋」

先日、東京でお客様と一緒に夜、蕎麦屋さんに行きました。驚いたことに東京
の蕎麦屋さんは昼の顔と夜の顔が全然違います。

私を含め関西の人は、そばは手軽な昼食というイメージで、うどんや丼と同じ
選択肢ではないかと思います。だから夜に蕎麦屋さんに行くことはほとんどな
かったと思います。

東京の蕎麦屋さんの夜の顔は、大人のための静かな和風居酒屋です。一人
又は二人で静かに酒と肴をいただく空間で、騒いでいる客はいません。

まさに「粋」な世界です。

酒肴も板わさ、焼みそ等、関東では定番メニューらしいですが、関西の人にと
っては何なのか想像もつかないものが多いです。一人気ままに手酌でお酒を
飲んでいる人が多く、静かに読書しながら飲んでいる人もいます。皆、一様に
リラックスをして一人の時間を楽しんでいる様でした。

ひととうり、お酒を楽しんだ後に「せいろ」と呼ばれるざるそばを最後に食べる
のが一般的な食べ方のようです。お茶漬けかラーメンなどの温かいものを締
めに食べると思っていた私にとって意外でありましたが、BGMもない凛とした
空間で背筋をピンと伸ばして食す締めの蕎麦は格別な味でした。

そういえば昔、東京の知人に休日の楽しみは何ですかと聞いたところ、「昼の
3時ぐらいから蕎麦屋で日本酒を一杯やりながら池波正太郎の時代小説を読
むこと」と言っていたのを思いだいました。聞いた時は全然イメージがわかなか
ったのですが、今はとてもよくわかる気がします。

一度やってみたいのですが、残念ながら大阪でそのような店はないかもしれま
せん。